社会保障の落とし穴

社会保障の落とし穴

NTTイフ

サイトマップ

第23回:「ねんきん定期便」で気付く世代間格差 〜 子どもの年金額が少なすぎる、間違いではないか?

平成21年4月から国民年金・厚生年金の被保険者の誕生月に「ねんきん定期便」が届いています。そこで最近は、子どもに届いたねんきん定期便をみた親の相談も増えています。少子高齢化の急速な進展で社会保険、中でも年金の財政が厳しいことは頭で知っているが・・という質問です。今回は、74歳の父から「それなりの給料をもらっている50歳の息子の年金額があまりに少ない、間違いではないか?」と受けた相談についてお話しましょう。


社会保険の行方 〜 少子高齢化は知っているが・・・

わが国の社会保険は被保険者からの保険料と税金などで給付を賄っています。従って、保険料や税金を主に支払う現役世代の減少と給付を受ける高齢者の増加は、社会保険の将来に大きな影響を与えます。平均寿命が伸び、日本の人口は緩やかに減少する中、全人口に占める高齢者の人口の割合は増加し続けています。こうした情報は日々人々の胸に刻まれていると思うのですが、こと自分のことに置き換えての理解度は今ひとつというのが、私の感想です。

<総人口の推移>人口が緩やかに減少しています

人口動態統計
総人口 年齢別人口 前年同月比
1億2755万8千人
(14万6千人0.11%減少)
0〜14歳 1,707万4千人 14万5千人 (0.84%)減少
15〜64歳 8,163万9千人 84万4千人 (1.02%)減少
65歳以上 2,884万5千人 84万2千人 (3.01%)増加

平成21年7月1日現在確定値

<年金における少子高齢化の現実>


Aさん(74歳)と、息子Bさん(50歳)の場合

では、世代がちがえば、受け取る年金額はどのくらい違うのか、74歳のAさんと50歳のBさんで比べてみましょう。2人とも、厚生年金に37年加入、平均給与を30万円として試算します。
比較のポイントは、年金の支給が開始される年齢と受け取る年金額です。

親子の年金額と受給総額の差 1,754万円
  60歳〜(子64歳) 65歳〜 80歳になるまでの総受額
父Aさん 222.47万円(年) 222.47万円(年) 約4,449万円
息子Bさん 73.30万円(年) 174.75万円(年) 約2,695万円

※年金額は平成21年度価格、総報酬制は考慮せず

息子の年金が少ないという父親のAさんの疑問はごもっともです。からくりは、年金額の計算に使う乗率などが先輩たちと今の人で違い、先輩たちの方が有利になっています。少子高齢化による年金の実態がお分かりですね。公的年金は、現役世代の保険料等で現在の高齢者の年金を支えるしくみだからです。


リタイアメントプランは、退職前からの気づきから

今の人やこれからの人が受け取る年金額は、先輩たちに比べると厳しい金額です。しかし、夫が実際に年金をもらっている我が身からすると、先輩たちより少ない金額でも2ヶ月ごとに決まった額が口座に入金されるのはとても有りがたいというのが実感です。

少子高齢化はこれからも社会保険の財政を厳しくすることは予想されます。だからこそ、少子化を徒らに嘆くだけで何もしないより、今、私たちにできる備えを個人ベースで退職前から少しずつ無理なく準備しておくことも必要でしょう。

届いた「ねんきん定期便」をじっくり確認したら、受け取り年金額をベースにして老後の収入のイメージをしてみましょう。年金だけでは不足する生活費を補うために今からできる準備はどんなものがあるのでしょうか。退職後も働いて収入を得るためにキャリアのスキルアップ、働き続けるための健康管理、今から投資や貯蓄でお金を増やす、保険に加入してイザというときに備えるなど内容は人それぞれです。何はともあれ、リタイア後に向けて対策が必要なことに「気づく」ことからですね。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

Copyright(C) NTT IF Corporation
Copyright(C) NTT IF Corporation