社会保障の落とし穴

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第22回:手取り額の減少の加速化 〜 社会保険料が年収の約14%(本人分)へ

今でも厳しい家計管理の実態の中、少しでも手取り額を増やしたいと考えるのが私たち一般庶民の思いですが、平成22年度も楽観的ではありません。暮らしのセーフティネットともいえる社会保障を支える年金や医療などの保険料率が上がることがほぼ確実だからです。今回は、社会保険料率が上がればどのくらい私たちの暮らしに影響するのか考えてみます。

手取り額 = 収入 − ( 社会保険料 + 所得税・住民税 )

よく勘違いしやすいのですが「収入」イコール「手取り額」ではありません。社会保険料や税金を含めた総受取額を収入、自分が実際に使えるお金を「手取り額」といいます。サラリーマンなど給与所得者と自営業者などで考え方は少し異なります。


平成22年度の社会保険料(月)

私たちが支払う社会保険料には、年金(国民年金・厚生年金〕、医療、介護、雇用保険などがあります。では、平成21年度と比べ平成22年度の保険料率や金額はどうかわるのでしょう。

◆ 国民年金の保険料は月440円増 ( 14,660円 → 15,100円 )

国民年金の保険料は、毎年280円引き上げられ最終的に上限が16,900円と決まっています。但し、実際の保険料は過去の物価指数や現役世代の賃金の伸びで変わります。

◆ 厚生年金の保険料率 0.354%増( 15.704% → 16.058% )

厚生年金の保険料率(被保険者と事業主で負担)は、毎年9月(給与からの徴収は10月)から0.354%引き上げられます。最終的には上限18.35%に決まっています。

◆ 医療保険の保険料率(協会けんぽ) 全国平均で1.14%増 ( 8.2% → 9.34%へ )

協会けんぽの医療の保険料率(被保険者と事業主で負担)は、3月分(給与からの徴収は4月)から1.14%引き上げられます。但し、保険料率は都道府県ごとで異なります。介護の保険料率は一律1.5%に引き上げられます( 1.19% → 1.5%へ )。健康保険組合は各組合の規約で医療等の保険料率が決まります。

◆ 雇用保険(失業等給付)の保険料率 0.4%増 ( 0.8% → 1.2% )

雇用保険の失業給付等の保険料率(被保険者と事業主で負担)は、平成22年度1.6%の予定でしたが1.2%に引き下げられました。


会社員 鈴木太郎(50歳)さんの場合 (年収800万円)

専業主婦の妻 さち子(48歳)さん
子ども 成人 別居
給与(月) 500,000円
賞与(年2回) 各1,000,000円


負担と給付が比例しない不思議

今、私たちの給与は予想以上に下がっています。社会保険の保険料は給与など(標準報酬月額等)をもとに計算するため、国などの保険料収入は減り、年金や医療などの給付に影響してきます。医療1つみても、保険料収入の伸びを医療費の伸びが上回っています。保険料率を引き上げざるを得ない理由の1つです。つまり、負担は増えても今のサービスを維持するのが精一杯でサービスの向上は期待できないしくみです。


社会保険をカバーする備えも必要

社会保険制度は国民全体で支えあう素晴らしい制度です。ただ、少子高齢化や財政上から万全でないことも分ってきました。生活のベースは社会保険で、少しでもプラスαの豊かさを目指すなら自分で多面的に積み立てておく必要があります。備えも分散の発想です。豊かさの質は人により異なります。どこまで豊かさの質を妥協できるか、いくらまでなら払ってもいいのか、いくらなら払えるのか、少しずつ現実路線で具体的に考えて実践していく時期かもしれませんね。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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