社会保障の落とし穴

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第20回:不景気で生活設計が狂った! 〜 繰り上げ請求の相談が増えています

セカンドライフを考えるとき、多くの人は何の疑いもなく「定年退職後の年金と定年後働いて得る給与」を生活費にする暮らしをイメージしています。定年までに蓄えたお金の取り崩しをできる限り遅くしたいのも人情だからです。しかし、待ったなしの景気の低迷化の今、年金相談の内容も様変わりしつつあります。今回は、蓄えたお金はできるだけ使いたくないが、思わぬ失業で「年金だけでは暮らせない」と、繰上げ請求に頼る退職者のお話をしましょう。

人生何が起こるかわからないセカンドライフは…


65歳まで雇用延長のはずだったのに・・Aさんの場合

Aさん (61歳・昭和23年4月2日生まれ 男性・60歳時で厚生年金40年加入)
60歳からの収入は、報酬比例部分の年金10万円(月)、給与18万円、退職後の賞与なし。
61歳6ヶ月で失業 ※高年齢雇用継続給付受給なしで試算。

Aさんは60歳で定年後63歳まで年金と給与の合計28万円、64歳は年金と給与の合計31.3万円、65歳以降は年金約16.6万円と預貯金で暮らす計画をしていました。ところが、61歳6ヶ月で失業し予定外の収入減になったという訳です。
※ 60歳から働いた1年6ヶ月分は、63歳で退職後の報酬比例部分の年金額に反映(以下同じ)

当初のAさんの計画

当初のAさんの計画


61歳6ヶ月で失業後の収入

61歳6ヶ月で失業後の収入


老齢基礎年金の一部繰上げを検討

年金だけでは暮らせないと考えたAさん、本来65歳から受給できる老齢基礎年金を繰上げて受給できるときき利用を考えてみました。退職後の収入が年金のみになるため、退職金の取り崩しはできる限り後にしたかったからです。Aさんは老齢基礎年金の一部繰上げを選択しました。

一部繰上げしてもらえる年金額

一部繰上げしてもらえる年金額


老齢基礎年金の一部繰上げの損益分岐点〜繰上げ開始後16.7年

61歳6ヶ月で繰上げて受給できる年金総額と、繰上げせず受給した場合の年金総額が等しくなるのは、繰上げ開始後16.7年後(16年9ヶ月後)の78歳3ヶ月のときです。各年齢ごとの累積年金額は、社会保険事務所で試算してくれます。繰上げ請求は、年金額が少ないとき年金額が増える嬉しさもありますが、デメリットもあるので要注意です。そんな筈ではなかったと後で悔やまないよう、繰上げ請求の条件を確認し自分で納得して選択しましょう。

年金総額受給グラフ

繰上げ制度の主な注意点


人生、何が起こるかわからない

キャリアアップして退職に備え順調に働いていたAさんも、景気の悪化で思わぬ失業。セカンドライフのマネープランも大幅に修正を余儀なくされました。激動の現在、定年後の家計管理もリスク管理は必要と言えそうです。ともすれば、老後資金が不足するとき、定年後も働けばいいと気軽に考えますが、環境の変化も視野に入れたプランニングも必要です。65歳前の年金額が少ない世代は、働くパターンと働けないパターンを想定した備えが必要ですね。

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執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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