社会保障の落とし穴

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第19回:世帯分離の不思議 〜 介護保険料とサービスを利用したときの負担が軽くなる

高齢期の介護や医療に関する負担は、保険料とサービスや治療を受けたときの支出の割合が収入に対しかなり大きくなるのが一般的です。そこで、負担を減らすために「世帯分離」という裏ワザを使う人も増えています。同じ住所に住んでいても、生計が別なら「世帯分離」が可能だからです。手続きは、市役所で「住民票異動届」で異動事由の「世帯分離」に○をして届けます。なぜ世帯分離するのか質問もなく事務的にことは運びますが、効果は抜群です。今回は、世帯分離で介護保険の負担がどれくらい軽減されるか事例でみてみましょう。




A子さん(80歳)の場合

A子さん 80歳 要介護5 (老齢基礎年金70万円と遺族厚生年金100万円)
長男Bさん 55歳 会社員(年収600万円) ・ Bさんの妻 52歳 専業主婦


介護サービスを受けた場合

では、世帯分離前と介護サービスを受けた場合、負担は、どう変わるのでしょうか。
介護老人保健施設に1ヶ月入所した場合でくらべてみます。

要介護5のA子さんの介護サービス利用料を28万円とした場合、世帯分離前と後でどれだけ負担額が変わるのかを見てみたいと思います。

介護保険が適用になるのは、施設での介護サービスの利用料(1割が利用者負担)のみです。要介護5のAさんが、介護老人福祉施設でユニット型個室を利用した場合の、利用料の上限は、28万9,903円です。(厚生労働省・介護報酬の地域レートを10円で計算)

高額介護サービス費
区分 負担限度額
一般世帯 37,200円
区民税世帯非課税 24,600円
区民税世帯非課税(合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下、老齢福祉年金の受給者) 15,000円
生活保護受給者等 15,000円

利用者負担限度額   ユニット型個室


サービスを受けたときの費用 (月の概算)
  世帯分離前 世帯分離後
サービス利用料(1割) 28,000円 15,000円
居住費+食費 59,100円+41,400円 24,600円+11,700円
合計 128,500円 51,300円

※サービス利用料は利用者負担となる1割を計上、世帯分離後の金額は、高額介護サービス費表に記載しております「区民税世帯非課税(収入80万円以下)」の負担限度額を計上しております。
※住居費+食費は、利用者負担限度額表より参照しております。世帯分離前では各施設との契約により額が変動となるため、基準上限額の1,970円/日、1,380円/日として、その費用の30日分を乗じて計上しております。世帯分離後は「区民税世帯非課税(収入80万円以下)」の負担限度額の820円/日、390円/日より月額を計算し計上しております。
※プラス日常生活費がおよそ200円(日額)必要です。


「世帯分離」は嬉しいしくみですが・・・

世帯分離の効果は抜群です。今回のケースでは世帯分離してもBさんはA子さんを税金上の扶養にすることができ、更に効果を見込めます。
しかし、制度を知っている人だけが効果の恩恵を受けられるという制度になっているのが現状で、この制度を有効に活用できていない方々もいらっしゃいます。(裏ワザ的なこの制度がもし問題ないのなら、該当する人 誰もが利用できるように市はもっと広報すべきでしょう。)
損をしないために情報収集を心掛け、制度を有効に使えるといいですね。

 

執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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