社会保障の落とし穴

社会保障の落とし穴

NTTイフ

サイトマップ

第17回:日本の医療保険は優れもの 〜 保険証を忘れて分ったこと ・ 3割負担のしくみ

昨今、医療保険の保険料や、医療機関などで治療を受けたときの負担増が話題になっています。医療保険制度の存在は当たり前の議論です。わが国の医療保険制度は、職域と地域保険として、昭和36年4月から誰でも加入することができる「国民皆保険」のしくみです。あまりに当たり前すぎて、その制度のよさに気づいていませんでした。今回は、つい最近、日本の医療保険制度のありがたさを身にしみて感じた私の小さな体験をお話ししましょう。


70歳未満の窓口負担は3割負担

病気やケガで医者にかかったとき、加入する医療保険の保険証を医療機関で示せば、70歳未満の窓口負担はかかった医療費の3割です。ただし、窓口負担が一定額(自己負担額)を超えたときは、超えた分の払い戻し(または一定額まで)が受けられます(高額療養費)。

70歳未満の自己負担額
所得区分 自己負担限度額
一般 80,100円+(医療費−267,000円)×1% (44,400円)
上位所得者※ 150,000円+(医療費−500,000)×1% (83,405円)
低所得者 35,400円    (24,600円)

※診療月の標準報酬月額が53万円以上ある被保険者と被扶養者
※市区町村民税非課税の被保険者と被扶養者など
※(多数該当)

自己負担割合
小学校入学前  2割
70歳未満     3割
70歳以上  原則2割
(経過措置あり)
現役所得者    3割

保険証を忘れて診察を受けた 〜 私の場合

先日、診察を受けた大学病院での支払いのとき、保険証(国民健康保険・以下国保)を忘れたことに気づきました。止むを得ず外来医療費(自費扱い)として9,765円の全額を窓口で支払いました。窓口担当者が言うには、約2週間以内に病院に保険証を提出すれば、医療費の3割との差額を返金します。但し、市役所の国保の窓口に保険証を提出した場合は、返金額が病院と異なるとのことでした。どこで支払っても単純に、支払った9,765円の3割との差額が返還されるとばかり思っていたので、調べてみたところ、担当者のいう通り違っていました。


病院の窓口の場合  約2週間以内に保険証を持参して支払うと差額を返金

保険証がない場合、医療費は自費扱いになります。通常、診療点数は1点につき10円ですが、「保険証」を窓口に提示できない場合、自由診療となり、診療点数は各病院で自由に決めるそうです。私がかかった大学病院は1点20円で計算しているそうです(細かい計算が他にあるため金額は一致せず)。


国保の窓口の場合  〜いつでも返金可だけど、返金額は3,418円

正式には、病院から「診療報酬明細書」をもらい、保険証とともに窓口に持参します。 私の場合、「診療報酬明細書」は受けなかったので、市役所の人が概算で計算してくれました。 市役所の国保の窓口では、保険証扱いになるので1点10円で計算します。従って、当初の病院は1点20点で計算した額9,765円を2で除した額の3割を国保に支払います。返金額は、1点10円で計算した額との差額です(概算)。


しみじみ思う、国民皆保険のありがたさ

今回、保険証を忘れ医療機関の窓口に全額支払ったおかげで、「保険証」の重みがしみじみ分りました。本当は診療費がかなりかかっていること。医療保険に加入しているからこそ気軽な金額で安心して治療が受けられるのですね。まさに備えあれば楽ありです。

今、国保の保険料を払わない人が増えているそうです。以前、若い夫婦が病気にならないから国保に加入しないと、ある市役所の職員とフロアでもめていました。病気になったときの備えとしてあるのが医療保険です。本来、国民年金と国保はセットで加入しますが、国民年金のみ加入する人も見かけられます。社会保険は支え合いのしくみである認知をしていく必要がありそうです。

普段は見えないリスクに備え、イザというときに役にたつのが保険です。それは、公的なものであろうと民間のものであろうと同じです。国民全体で、個人でと備えるとしくみは違いますが、二枚岩の方がより安心かも知れませんね。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

Copyright(C) NTT IF Corporation
Copyright(C) NTT IF Corporation