社会保障の落とし穴

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第16回:人生にはコストも必要なときもある 〜 高齢期は、成年後見制度も視野に入れて

高齢化と核家族化が進み「高齢者の住み替えの厳しさ」は、抜き差しならぬ状態のようです。テレビの報道では、バリアフリー対応の都営住宅の応募率が高く、入居できない高齢者が不便な生活を強いられているとのこと。では、お金にゆとりがあれば大丈夫かというと現実はそう甘くありません。預貯金が驚くほどある人でも賃貸住宅の入居を断られるケースもあります。貸す方の立場から「出火されたら」「1人暮らし中に万が一倒れたら」など心配の種は尽きないからです。
若いときには見えなかった高齢者のリスクです。今回は、資産もかなりあったのに自分の理想とする暮らしをおくれなかった例でお話ししましょう。


最後まで自分らしく生きる・・・準備は早めに

A子さんは都心にある1,000uほどの敷地にある自宅で猫と暮らしています。自宅は古く80歳代のA子さんが暮らすには不便です。不動産価値が下がったとは言えかなりな資産なので、A子さんは、自宅を売却して有料老人ホームで猫と暮らす生活を夢みていました。しかし、ペットと暮らせるホームを探している間に認知症になったA子さんは、資産がありながら自分の希望の生活ができなくなりました。


知っておきたい、成年後見制度

2000年にスタートした介護保険は、利用者本人が事業者と「契約」してサービスを受けるしくみです。判断能力の不十分な人などはサービスの利用を充分受けられない恐れもあり、そうした人たちの「お金の管理」や「体の様子の見守り」をサポートするのが成年後見制度です。

■任意後見制度
ご自身に判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になったときに備えて「誰に」「どんな支援をしてもらうか」を公正証書で契約します。
  <こんなとき成年後見制度が利用できます>
・有料老人ホームや介護施設などの入所契約などをお願いしたい
・最後まで、自分の意思を通して生きたい
※どのような契約にするかは本人と後見人の間で取り決めをします。

■法定後見制度
本人の判断能力が不十分になったとき、判断能力の程度により「補助」「保佐」「後見」の3つの制度を利用できます。本人もしくは親族などが家庭裁判所に審判の申立てをします。
  <こんなとき成年後見制度が利用できます>
・認知症の母が訪問販売などで不要な浄水器、呉服などを購入してしまった契約を取り消したい。
・認知症の母の不動産を売却して、医療費などにあてたい。
・同居の姉が判断能力の不十分な母の年金を勝手に自分の生活費に使っているのをやめさせたい。


A子さんは、「任意後見制度」が利用できた

A子さんは、当初まだ判断能力があったので任意後見制度を利用できました。足腰も弱っていたので判断能力がなくなるまで、「見守り契約」をしておけば安心だったでしょう。事前に任意後見人制度を使用しておくことで、認知症になってしまっても後見人を介して、希望するペット可能な有料老人ホームへの入居も可能でした。また、ペット可能な有料老人ホーム以外の選択肢も契約に盛り込んでおけば、自分らしい暮らしも可能でした。 成年後見制度のことを知っていたAさんですが、体力がなくなり1人暮らしが長かったため相談する人もなく、決断を行動に移すのが遅れたのです。

見守り契約とは?
見守り契約とは、任意後見での契約の前段として支援する人が本人と定期的に面談や連絡をとり、備えとしての成年後見制度(任意後見)をスタートさせる時期を相談したり、判断してもらう契約です。

< 費用は、継続的なものと公正証書作成などの実費が必要 >


ココロの整理をしておこう 〜 老後どう暮らしたいのか

誰でも生きていれば年を重ねます。老後は静かに、しかし、確実にやってきます。なるようにしかならないのが人生かも知れません。でも、せっかく蓄えた資産があるなら、自分らしく生きるためにこの制度を活用することも検討してみては如何でしょうか。自分でできなくなったら、依頼した支援内容により、あなたの代わり(代理権)に動いてくれます。お金は「有効に使ってこそ」生きたお金になります。将来の不安がココロをよぎったら、自分が将来ありたい姿をイメージすることから始めてみませんか。費用対効果の考え方は、あなたが何を一番大切にしているかできまります。正解はありません。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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