社会保障の落とし穴

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第15回:高齢になればなるほど広がる格差 〜 医療と介護保険の保険料

つい最近、80歳代の男性から「1年くらい、通帳に年金の入金がないのですがなぜ?」と相談を受けました。社会保険庁から届いた書類を確認し、通帳を拝見すると昨年の4月の入金を最後に通帳は白紙でした。入金されていないではなく、単に記帳忘れだったのです。ひとしきり雑談の後、「早速、帰る途中の銀行で記帳してお金をおろします。年をとるって寂しいですね。妻と離婚後、子どもとも疎遠で、誰に相談していいのか分らなかった、ありがとうございました」と、杖を頼りに帰られた相談者の後姿が小さく感じられました。一方で未だに溌剌と暮らす高齢者もおり、高齢期の生活能力の格差は若者以上に広がっています。



平均値から、自分の場合を想像しよう!

格差拡大は生活能力のみではありません。リタイア後の生活に関係する社会保険(介護保険医療保険)の保険料と治療などをうけたときの負担も人それぞれです。いくら必要の目安は統計値ですが、新聞や各省発表などの統計値はあくまで平均的な金額です。人口に占める高齢者の割合が確実に増えつつある現在、高齢期の支出の増加の怖さの本番はこれからかも知れません。今回は、社会保険の負担のうち、介護保険と医療保険の保険料についてみてみましょう。




介護保険と長寿医療制度の保険料 (東京都F市の場合)

65歳以降の介護保険料の保険料(市区町村で異なる)は、平成21年度から変わりました。特徴は、所得の区分が細分化されたことです。長寿医療制度の保険料(都道府県ごとで異なる)は、平成22年度に変わります。但し、現在、東京都独自の軽減措置があります。

75歳以上の方の保険料  妻の年金80万円   平成21年度現在

  夫の年金・200万円 夫の年金・300万円
介護保険 夫52,100円・妻37,900円 夫59,200円・妻37,900円
長寿医療制度 夫45,600円・妻30,200円 夫134,200円・妻37,800円
夫婦で165,800円 夫婦で269,100円

長寿医療制度の平均値の見方

全国の長寿医療制度の保険料が、厚生年金(標準年額208万円)のみを収入とする単身者をモデルにした金額が昨年新聞に掲載されました。全国平均で年8万3,885円、東京都の場合、7万3,880円と低い方でした。ただ、この金額は、軽減措置を考慮する前の金額です。軽減措置を考慮すると、単身で厚生年金208万円もらう人の長寿医療制度の年保険料は5万5,800円になります。

年金収入208万円の単身者の主な平均保険料  長寿医療制度

長野県 高知県 東京都 岩手県 福岡県
71,700円 97,409円 73,880円 72,200円 101,750円

実際の21年度の保険料は、55,800円

高齢者も特別待遇ではない・・・を意識しよう

年金収入が人並みにあれば老後は大丈夫と多くの人は思っていました。しかし、それは支える若者が増え続けてこそ成立した幻でした。現在、経過措置で保険料の軽減など実施されている長寿医療制度も来年度は変わらざるを得ないでしょう。保険料の見直しは介護保険が3年ごと、長寿医療制度は2年ごとです。少子高齢化で高齢者と若者の比率はますます厳しくなる一方です。この状況の打開にはすべて人の協力が必要かも知れません。


高齢期の暮らし方は10人十色

長寿化で夫婦のどちらかが病院に入院、介護施設に入所など一緒に住みたくても住めない、または、離婚で1人暮らし、訳あって別居中、夫婦2人暮らし、ずっと一人暮らしなど、相談現場から見える現実の高齢期の暮らし方は、多くの人が思っている以上に驚くほど多様化しています。そして、前述の相談者のように、若いときには見えなかった大小のトラブルも起きています。だからこそ早いうちからの準備が必要です。何が起ころうと対処できる経済的備えと、いつまでもみずみずしい心とブレナイ生き方があなたを最終的に守ってくれるでしょう。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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