社会保障の落とし穴

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第10回:年金は老後だけのものではない! 〜 年金こそ若者の問題・障害年金と遺族年金

「将来公的年金がもらえそうもないかも・・」の不安などから、国民年金の納付率が低下しています。中でも若者の国民年金離れが以下の統計からも目立ちます。しかし、公的年金は、老後はもちろんですが、むしろ万が一のときこそ有難いしくみです。今回は、事故や病気などで死亡または障害者になったとき、どんな条件を満たすと遺族年金や障害年金がもらえるのかについてお話しましょう。いくらもらえるの前に、もらえる資格があるかと言うわけです。

社会保険庁


万が一の場合の年金は、25年加入しなくてももらえる

老後の年金は、国民年金と厚生年金と共済年金の3つのどれかに原則25年以上加入してもらえます。遺族基礎年金と障害基礎年金は、25年加入しなくても決められた「保険料納付要件」を満たせば、一定額を受給することができます。厚生年金・共済年金に加入されている場合は、基礎年金に加え障害厚生年金・障害共済年金がもらえます。


知っておきたい 「保険料納付要件」

25年加入しなくてももらえる障害年金と遺族年金。障害年金や遺族年金をもらうために必要な保険料の要件には、(原則)と(特例)の2つがあります。要件に1月でも不足すると年金はもらえません。


保険料納付要件のイメージ

(原則) 病気やケガで初めて医師の診察を受けた日(初診日)の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上が保険料納付済(免除月や学生納付特例付月等含)期間。

(特例) 初診月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がない。 昭和40年4月1日以前生まれが対象。


事例 入社して2ヶ月後の5月にオートバイ事故で障害者に(23歳)

就職すれば厚生年金に加入するから、学生時代に学生納付特例の手続きはしなくていい と考えがたちですが、トラブルは待ったなしです。申請していない場合と申請済で変わる年金額を知れば、あなたの気持ちも変わるでしょう。

(1) 入社まで未加入 → 障害年金なし


(2) 入社まで学生特例申請済 → 障害2級で約125万円


(3) 夫(30歳)12月15日に退職、翌年2月に国民年金の手続き後死亡 → 年金はなし

(家族 妻28歳 子1歳 )
夫は12月途中退職なので厚生年金加入期間は11月まで、12月と1月は国民年金未加入です。遺族年金の保険料納付要件をみてみましょう。原則は20歳から30歳になるまでの10年に対して厚生年金加入分が5年なので3分の2以上に該当しません。特例は、直近1年間に1月の未加入期間があるため該当しません。たった1ヶ月の国民年金未加入で遺族年金はもらえません。


多様化社会は、自己責任の時代

景気が低迷する中、まさかの退職や生活レベル低下も珍しいことではありません。こんなときだからこそ、私たちは、制度を知って今できる手続きや対策をしておきましょう。暮らしはこれからも続きます。年金の空白期間をなくし受給資格期間と年金額の積み立てが、きっとあなたのこれからの生活を豊かにしてくれるでしょう。


 

注)
子18歳 18歳に達した年度末までの間の子
学生(納付猶予)特例 本人の所得が一定以内の学生が申請できる。特例期間は年金額に反映されないが、受給資格期間になる。
免除期間 世帯主と本人や配偶者の所得で、一部または全額免除できる。免除期間は年金額に一部反映され、受給資格期間となる。
若年者納付猶予特例 本人と配偶者の所得で、保険料の納付が猶予される。猶予期間は年金額に反映されないが受給資格期間となる。
年金額は、総報酬制を考慮せずに試算。なお、障害厚生年金3級は、厚生年金独自の年金。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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