社会保障の落とし穴

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第9回:女性は損益分岐点がお好き? 〜  国民年金の任意加入は、自己責任で

国民年金は、25年以上加入してもらえますが、20歳から60歳になるまで40年加入すると満額の792,100円もらえます。そこで年金を増やしたい妻から質問が多いのが、「60歳以後任意加入するとお得?」。何歳まで長生きならお得という「損益分岐点」が知りたいという訳です。計算どおりにいかないのが人生です。あくまで、プランニングの選択肢の一つとして参考にしてください。


任意加入できるのは

国民年金は60歳以後も任意加入できます。60歳時で国民年金の受給資格の25年を満たしている人は、65歳になるまで任意加入して年金額を増やせます。60歳時で受給資格を満たしていない人は、70歳になるまでに25年になるまで加入して受給資格をつくれます。今回は、既に受給資格はあるが、任意加入して年金額を増やしたいケースで考えてみましょう。


74歳以上長生きならお得


妻(59歳)の場合 〜 昭和24年4月2日生まれ


  サラリーマンの妻、65歳からの年金

会社員の妻が60歳になるまで国民年金に加入すると、カラ期間と第3号期間と第1号期間の合計は36年なので、受給資格の25年を満たします。しかし、カラ期間は年金額に反映されない期間なので、第3号と第1号期間の23年分の老齢基礎年金額は45万5,500円(プラス振替加算)です。


事例


(1) サラリーマンの妻が、5年任意加入後、65歳からもらえる年金

妻は、5年任意加入するので第1号期間が8年になり、第3号期間とあわせた28年分の老齢基礎年金額は554,500円(プラス振替加算)です。


(2) サラリーマンの妻が、任意加入せず、一回(2か月分)年金をもらって亡くなると

年金は、偶数月の15日に前2ヶ月分が自分の口座に振り込まれます。妻が65歳になり年金を一回もらって亡くなるとそれで妻の年金は終了です。


(3) サラリーマンの妻が60歳から5年任意加入後、一回(2ヶ月分)年金をもらって亡くなると

60歳から5年間任意加入して払った保険料は約86万円。妻が65歳になり一回もらって亡くなると妻の年金が修了なのは任意加入しない場合と同じですが、1回分の年金額は殆ど差がありません。長生きして初めて払った保険料の効果がでることが分かりますね。


(4) サラリーマンの妻が60歳から4年任意加入後、亡くなると

妻が自分の年金をもらう前に亡くなると、夫が死亡一時金を受け取ります。60歳から4年任意加入した妻の第1号期間は7年となり、死亡一時金は12万円です。(※第7回:自営業者の遺族保障 <死亡一時金>を参考


自営業者の妻・65歳からの年金

自営業者の妻が60歳になるまで国民年金に加入すると、第1号期間25年なので、受給資格の25年を満たし65歳からの老齢基礎年金は、495,100円です。


(1) 自営業者の妻が60歳から4年任意加入後、亡くなると

妻が自分の年金をもらう前に亡くなると、夫が死亡一時金を受け取ります。60歳から4年加入した妻の第1号期間は29年となり、死亡一時金は22万円です。


選択肢はいろいろ・・

公的年金は皆で支えあう制度なので自分が払ったものが全てもどるとは限りません。一方、民間の個人年金は一定の条件のもと自分が払ったものがかなり戻る年金です。公的年金と民間の個人年金は、しくみがちがうので、どちらが優れているということはいえません。

ただ、60歳から国民年金に任意加入すれば65歳からの年金額は増えますが、増えた年金額を受けられるのは長生きが前提です。60歳以後年間約17万円(平成20年度)の保険料の支払いはかなり大変です。60歳までに受給資格を満たせる人なら、老後の不安と年金不足を補うために、今から少しずつ貯金する、投資する、または保障を買って備えるのもよいでしょう。

年金額。保険料 平成20年度価格にて試算
振替加算 =厚生年金に原則20年以上加入した人に、生計維持関係にある65歳未満の配偶者等があると加給年金が加算されます。配偶者が65歳になると加給年金がなくなり、代わりに配偶者の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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