社会保障の落とし穴

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第6回:遺族保障 1500万円の損失は痛手! 〜 夫死亡時、子のいない40歳未満の妻はご用心

知らなかった。そんなこと、誰も教えてくれなかったわ。会社員の夫が死亡して妻がもらえる遺族保障額が1500万円も減るなんて・・・」と、今でも納得いかない妻A子(38歳)さん。 会社員の夫が死亡したとき、40歳以上の妻には遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されますが、子どものいない40歳未満の妻には加算がありません。その損失が最大でおよそ1500万円と言うわけです。

今回は、平成19年4月からスタートした「中高齢寡婦加算の改正」についてお話しましょう。


中高齢寡婦加算の改正内容

平成19年4月より、遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算が、会社員の夫が死亡したときの妻の年齢が35歳以上から40歳以上に改正されました。加算されるのは40歳から65歳未満の25年間、およそ1500万円と半端な金額ではありません。どう変わったか、事例でみてみましょう。

◆ 会社員の夫が死亡したケース
夫(40歳):厚生年金加入17年  平均給与30万円

【事例1】 A子(38歳)さんの場合 (夫婦に子はいない)

【事例2】 B子(38歳)さんの場合 (夫婦に17歳の子どもがいたが・・)

【事例3】 C子(38歳)さんの場合 (夫婦に15歳の子)

※ 年金の子とは、18歳に達した年度末までの子、または障害等級1級・2級の20歳未満の子で未婚の子をいいます。遺族基礎年金と中高齢寡婦加算の両方を受給できるときは、遺族基礎年金が優先されます。
遺族厚生年金額は、総報酬制を考慮せずに試算(平成20年度価格)。妻は専業主婦とする。
遺族基礎年金は、子のある妻または子が受給できる。


夫が死亡したときの妻の年齢は同じでも、遺族保障額に大きな差

会社員の夫が死亡したときの妻の年齢は皆38歳ですが、遺族保障の総額は大きく異なります。金額の差は中高齢寡婦加算の有無で決まります。ポイントは、以下の2つ。
(1)夫婦に子どもがいないなら、夫が死亡したとき妻が40歳以上か。
(2)夫婦に子どもがいるなら、妻が40歳のときに子どもがいるかどうか。

■ 妻が85歳になるまでの年金総額の比較 (単位:万円)

妻の年齢 38歳〜 39歳〜 40歳〜 41歳〜 65歳〜 年金総額
A子さん 51.41 130.62 4000.47
B子さん 153.41 51.41 130.62 4102.47
C子さん 153.41 110.83 130.62 5732.55

生活設計は、「私の場合」でプランニングを!

平成19年の統計によれば、1人の女性が生涯に産むとされる子の数は前年の1.32から1.34に上昇しましたが、出生数は108万9745人と前年より2674人減少しています。第1子出生時の母の平均年齢は29.4歳と上昇中です。

その立場に置かれてみないと気づきにくいのが、「私の場合」の公的年金の保障額です。 年金は改正内容が多いのが特徴ですが、詳しい内容はあまり知らされていません。しかし、上記の金額でもお分かりのように、イザというときに知らなかったというにはあまりに大きな差です。平均と自分のパターンがいつも一致するとは限りません。今こそ、自分を守るために学ぶことも必要かもしれませんね。

 

■ 平成19年の対前年比の出生数( △:増加  ▼:減少 )

15〜19歳 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳 40〜44歳
▼727人 ▼4058人 ▼111751人 ▼5189人 △15779人 △2944人

■ 第1子出生時の母の平均年齢の年次推移

  昭和40年 50 60 平成7年 16 17 18 19
平均年齢 25.7歳 25.7 26.7 27.5 28.9 29.1 29.2 29.4

厚生労働省 人口動態統計


執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/

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